日本語練習帳 (岩波新書)



日本語練習帳 (岩波新書)
日本語練習帳 (岩波新書)

商品カテゴリ:人文,思想,学習,考え方
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解き進め、実感する

 単語、文法、語用法、読解などを5つに項目立てし、問題を解き、解説による答え合わせを行いながら読み勧めていく作品。傍らに筆記用具とノートは必須だ。
【1章】「思う」と「考える」の違いから展開される第一章。言葉の微妙なニュアンスを問う。意味はほぼ同様でありながらも用法の大きく異なる漢字について語源を辿ることでその違いを解き明かす。単語を解剖する方法と、単語への感受性を鋭くする習慣を身につける。
【2章】主述の関係をパターンに分け、「読みやすい文章」と「読みにくい文章」の違いを問う。日本語の基本は主述を結ぶ「は」と「が」にある、と言い切る著者の文法論が光る。
【3章】うっかり書いてしまいがちの、「のである」口調と「?が」の連続した文章。読む側に与える印象と読みやすさを考えながら、問題点を抽出、添削する。
【4章】1?3章までの内容を用いて文章の「縮約」に臨む。還元、読解、創作能力を総動員して行う「縮約」によって、文章の骨格を見出し日本語の体系を実感する。この作品の醍醐味といえる章。
【5章】最後に、敬語の用法を尊敬、謙譲、丁寧語それぞれのルーツを辿り理解する。

 各章の内容は上記のようなものだ。巻末には問題の配点表があり、自分の得点から現状の日本語への理解力が振り返ることができるようになっている。偉そうに色々と書いてしまったが、私の自己採点は250点中160点。(ちょっと甘くつけたのに・・・)まだまだ理解不足だと実感させられる。
 テストは悔しい思いをしたが、読み物としてもこの作品は面白い。著者は読者の文章技術向上のために本作を書かれているが、表面的な技術習得などは全く目的としていない。問題と向き合い、考え、答えを出す過程を通して、日本語の持つ奥深さと味わいを実感して欲しいと思っているのだろう。読み勧めるうちに、言葉に対し感覚が研ぎ澄まされていく実感と楽しさを覚えた。また、有名な学者や作家であっても歯に衣着せずにズバリと切る著者の言葉は、力強さと確かさを持ち、新鮮であり刺激的であった。
 大きな概念や現象を捉える時、そして発信する時、自身を形作る言葉の本質を掘り下げた人とそうでない人では言葉の重みが違う。著者は志賀直哉をズバリと切った。志賀作品をほとんど読んだことのない私にはそこに何の判断も下せないが、それをするだけの言葉の掘り下げと向き合いが、著者はできていることは頷ける。そしてそれは実際に何度も自問し、書き出してみないと習得できないものなのだろう。
 著者がなぜ練習帳という形式をとったのか。最後に作中から一文引用する。

?極意というのは実は簡単なものです。その言葉だけを見るとそれは簡単です。しかし、その言葉が指す事実がいかに広く深いかを、実際を通して感得できるに至ってようやく、極意書の文章の意味が分かるようになったといえるでしょう。?
役立つ一冊☆

この著者はいつも謙虚な姿勢で文章をまとめているらしくとても読みやすいです。

日常的な単語、文法、敬語についてまとめていますが本質をつかれるとうっとたじろいでしまうところがたくさん指摘されていて退屈しません。一気に読めます。

高校生の時に読んだのですが、本当に役立ちました。
「が」を使うなとか「である」「のだ」を消せという指摘は本当に的を得ていると思います。
これは大学生になった今でもこの本を読んでいてよかったなあと思うので日本語を使うすべての方におすすめの一冊です。
英語力云々の前に、日本語力が基本ですなぁ

本書で書かれている内容を理解できていないと、外国語マスターなんて覚束ないと思いますね。特に「単語に敏感になろう」という章で、色んな類義語の違いを理解する下りがありますが、こういう「言葉のニュアンスにこだわろうとする気持ち」が外国語学習でも重要だと思うわけです。また「は」と「が」の違いに関する処は、aとthe(と無冠詞)/単数と複数の問題を理解する時の心構えに通じるものがあります。こういう細かい処に敏感でないと、外国語で細かいニュアンスなんて表せるはずがありません。新書ですから分量的に尽くせる筈がありませんが、上の意味での「語学学習の心構え」を学ぶ本なのだと思います。
最近は「英語は小学生から学ばないと、、、」とかいう話がありますが(→発音/聴取り力では一理あり)、本書で述べられているような「日本語に対する深い理解/感覚/こだわり」が基本にない限り、外国語の理解なんて上っ面をかすめるだけじゃないか、とも思いますね。(理系だから国語は試験科目としてやらなくて良い、とかいうのも暴論です)そういう視点で本書を読んでみるとまた違った楽しみ方が出来るかもしれません。「日本語と外国語」(鈴木 孝夫)/「日本語(上)(下)」(金田一春彦)と同時期に読んでいたので、そんなことも思ったりした次第です。
共感できるがボリューム不足

ただ闇雲に正しい表現をしろというのではなく、目的のために記述の方法や表現の方法を工夫しなければならないという筆者の態度が、心地よい。その態度は敬語に関する記述でも同様で、「どのような表現が適切であるかは時代によって変わってくる。しかし、文章のルールや構造を知っていないと、臨機応変に適切に使っていくことができない。」と筆者は述べている。しかし、ボリュームはやや少ないため他の本で補充する必要があるだろう。
深い考察なのにめちゃ謙虚

研究者としてこれだけまとめ上げながらも押し付けがましくない。
これはあとがきを読めばどういう意図で作成されたかがよく分かります。
単なるハウトゥではない日本語の捉え方の根っこの部分をわかりやすく
とても論理的に説明している指南書?薄っぺらじゃないのです。
時代とともに変わっていく日本語を俯瞰してどれが正しいではなく
この時期はこういう言い方もしたけど元々はこうで・・・と起源も解説。
「が」と「は」の違いをこれだけ論理的に語れる人なんて稀でしょう。

答えよりも考え方を示唆してくれている部分が多いので日本語そのものを
どうやって分解・再構築していくか気になってる人にはもってこい。
単純に正誤だけで判断する人には正直向かないでしょう。

やはり、どれだけ伝わるか。伝わらなければ伝え方が悪い。
というあとがきで語られた思いがこの方の原動力なのでしょう。



岩波書店
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